日本酒の熟成酒・古酒の魅力

日本酒の熟成酒、古酒を少しずつ飲み始めてみて自分なりに分かってきたことをまとめています。随時更新中。

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本当に旨い熟成酒とは

自分にとっての旨い熟成酒はもう答えが出ていて

美丈夫 大吟醸 吊るし斗びん 12年古酒を飲む
"美丈夫(びじょうふ)"は高知県の浜川商店さんで造られている酒で、私が大好きな銘柄の一つです。今回、"美丈夫 大吟醸 吊るし斗びん"の12年...

で書いていますが『熟成感がない熟成』が僕にとっての理想です。何年置いていようが、年月を感じさせず、旨いまま飲める酒が好きです。

喜正 大吟醸 7年古酒を飲む
"喜正"という日本酒は、東京都あきる野市にある野崎酒造さんで造られていて、毎年全国新酒鑑評会で金賞の常連でもある実力のある蔵元さんです。 ...

上記の喜正も大変美味しかったです。

これらに共通しているのは、「高精白」の酒を「完全遮光」「完全冷蔵」で保管している事です。

茶色い古酒

古酒の中には年月が経って色が茶色くなってしまったものもあります。こういった酒は、香りは香ばしくカラメルのような感じがあり、味も濃く、元が日本酒だったとは思えないくらいの変化をしているお酒もあります。

これらに共通しているのは、「高精白」か「低精白」かに限らず、「遮光せず」「冷蔵せず」保管している場合が多い点です。

また、遮光はするけど冷蔵しない、冷蔵はするけど遮光はしない、という場合も、色の変化が起きやすく、香ばしい濃い印象の酒になることが多いようです。

こちらは、香りや味に熟成感ありありというか、何かが突き抜けてしまった感じがして自分の好きなタイプの熟成ではありませんが、このような古酒のファンも多く居ます。

ちなみに、よく日本酒を特集した雑誌等に乗っている古酒の記事で「純米クラスは熟成で色の変化が多く、時間の経過と共に濃い茶色になっていくが、吟醸クラスは色の変化が少ない」という記載があるのですが、実は自分はまだ”純米クラスで完全遮光、完全冷蔵で10数年”経過した酒を見たことがないので、本当にそういった、遮光冷蔵がしっかりした純米クラスの古酒も、色が茶色くなるのかが気になります。

熟成の魅力は調和による円熟

もともと発売当時でも旨い酒が、長い年月を経て調和され、さらに完成されるのが本当の熟成だと思います。調和とはバランスを整えるということで、元の良さを損なうことなく、じっくり調和されていくには、やはり暗くて寒くて静かなところで眠らせる必要があると思っています。そうすることで調和が進み、円熟していくのだと思います。

熟成=調和による円熟

上記に記載した茶色く香味が極端に変化してしまった酒は、その調和が崩れているので、好みではないです。

旨い熟成酒の3つの条件

ここからは最初に挙げた、旨かった熟成酒の条件である「高精白」「完全遮光」「完全冷蔵」が、なぜ熟成による調和で良い影響を受けるのか理由を考えてみたいと思います。完全に私の私見ですので、参考程度に。

高精白が良い理由

高精白とは、精米歩合35%とか、45%等の、原料であるお米を”より磨く”事を指しますが、具体的に何%以上磨いたから高精白、という定義はなかったと思います。3つの条件の中では最も緩い部分で、別に精米歩合60%でも、遮光冷蔵が良ければ良い熟成をする可能性もあると思いますし、逆に精米歩合45%の大吟醸も保管状態次第で茶色くなります。

八海山 大吟醸 10年古酒を飲む
元祖旨い日本酒といえば"八海山"と"久保田"で未だに大人気銘柄の筆頭ですが、このたび約10年前に製造された"八海山 大吟醸"を手に入れました...

上記のように、八海山の大吟醸も茶色くなり、香味も変化します。

長期の熟成において高精白が良い理由は、米のデンプン由来の成分が、出来上がる酒の中に少ない事が挙げられると思います。つまり、酒質に変化を与える成分が少ない方が、変化が少ないので、熟成に向いているという事です(高精白にすることで、米の中心の心白の割合が多くなり、米の周りのデンプン質の割合は少なくなる)。なぜなら、最初の方で記載した通り、熟成の魅力は「調和による円熟」であって、何かの化学反応による新しい香味付けではありません。米のデンプン由来の成分が、長期保存で具体的にどれほど味に変化を及ぼすか分かりませんが、基本的に大吟醸や吟醸クラスより、純米や本醸造クラスの方が”味が多い”事から、高精白の酒の方が「綺麗な酒質を保ったまま」調和した時の完成度がより高まるのではないかと考えています。

逆に言えば、調和するには成分が少ない方が(高精白酒の成分の割合が多い方が)その分調和の余地が多いので有利?といえるかもしれません。完全に想像ですが・・

冷蔵が必要な理由

これは言うまでもありませんが、常温、高温状態での酒の放置は劣化(老ね香の発生や味の劣化)を招きます。栓を開けたかどうかに限らず、長期保存するなら冷蔵が必要です。余談ですが、殆どの酒屋さんでは、火入れの酒は常温で置いてありますが、常温で陳列されている酒を買うときは製造年月を確認しましょう。今月か前月の表記ならまだ大丈夫だと思いますが、3か月も4か月も前だと、蔵元が出荷時に見込んだ味が楽しめるか分かりません。

冷蔵保管による効果ですが、酒の中の酵素などの働きを抑え(眠らせる)、酒質の劣化を防ぎ、熟成の観点から見れば元の酒質を保ったままの調和が期待出来ます。長期保存の必須事項の一つです。

生酒が全部要冷蔵なのは、酵素などの成分が生きたままのため(火入れによる殺菌をしていないため)、保存温度が高いと酒がすぐ悪くなってしまうので冷蔵されています。

遮光が必要な理由

遮光が必要な理由は下記の通りです。

光(特に紫外線)※3は化学反応を促進しますので、酒質の変化を速めます。お酒は、日光や照明等に気をつけ、光に当たらないようにすることが大切です。

※3
光については、日光以外にも蛍光灯の光でも化学反応は促進されますので注意が必要です。

独立行政法人酒類総合研究所 お酒のQ&A – お酒の保存方法を教えて下さい。より引用>

上記の”酒質の変化を速める”というのは、光による化学反応により酒質が「悪くなる」という意味で捉えています。また、紫外線だけでなく蛍光灯の光でも化学反応が促進されるという事なので、瓶を裸のまま置いておくのはNGで、何かしらの遮光対策が必要になります。これは瓶の色(茶、緑、黒、青、透明、フロスト処理の有無)に関係無く必要な対応です。長期保存ならなおさらです。

最初から箱に入って売られている酒は、高級なものが多く遮光状態も抜群のため、古い日付のものでも良い熟成が期待できます!

その他の熟成に影響を与える+アルファ

熟成により酒質に変化を与える要素はまだありますが、ここは自分ではどうにも出来ない部分が多いです。

生酒か火入れか

酒質の変化が速い生酒も、適切な冷蔵温度で遮光がしっかりしていれば良い熟成が期待できますが、家庭用冷蔵庫の温度では長期保存は厳しいかもしれません。今後検証してみたい課題です。

ちなみに、生酒でも家庭のコンロでで63℃~66℃くらいまで熱燗の容量で熱し、その後冷ませば一応は”一回火入れ酒”の出来上がりです。

濾過か無濾過か

吟醸クラス以上の酒は、元々きれいな酒質が多いため必要最低限の濾過のみ施している商品が多いようです。また、純米クラスでも生酒はジューシーさを演出するため、無濾過が多い傾向があります。『純米無濾過生原酒』って、結構目にしませんか?

熟成において濾過の有無がどれほど酒質の変化に影響を与えるかは分かりませんが、個人的にはどちらもそれほど差はなく、環境(冷蔵温度、遮光状態)による影響の方が大きいと思っています。ただ、無濾過のほうが酒の中に成分が多く残るというのは間違いないので、全く影響がないとも言い切れません。

古酒、熟成酒についての追記事項

①古酒は酔いにくい・・・かも

搾りたての清酒のアルコール分子と水の分子は離れ離れになっていますが、清酒を熟成させることで、アルコールの分子の周りに水の分子が囲うようにくっつくらしいです。そこからの推測と実体験からですが、水の分子がアルコール分子を囲っているため”飲み口がまろやかになり”、”アルコールの吸収が遅くなり酔いにくくなる”ような気がします。その証拠に、日本酒をグラスに注いで24時間放置していたことがありますが、一般的な清酒だと香りが飛んで、味もなくなり、辛いだけでとても飲めるような状態ではありませんが、古酒になると(具体的に何年経過したからというのはわかりませんが)放置した後でも香りと味わいの変化が少なく、良くも悪くも酒質を保っている事が多いように思います。

これはつまり、アルコールの分子を水の分子が囲っている効果(味と香りを閉じ込める効果)か、もしくはほぼ融合?してしまったから、酒質の変化が少ないのではと考えています。

で?とりあえず飲んでみたいんだけど?

酒屋さんでも居酒屋さんでも、調和による円熟を楽しめる旨い古酒に出会えるかは運としか言いようがありませんが、少しでも日本酒の熟成酒、古酒に興味を持ってくれたら嬉しいです。

★どんな古酒を飲んできたのか、古い順に一気読みできるようにしてみました。まずは喜正からどうぞ。

喜正 大吟醸 7年古酒を飲む
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