サム・スミスといえば、2014年のグラミー賞(全米の、いうならば全世界のレコード大賞で紅白!?=音楽業界の最高峰の一つ)で、新人ながらに4冠を獲得した男性歌手として洋楽ファンならご存知の方も多いはず。
日本でも、平原綾香やクリス・ハートが彼のヒット作をカバーしているようなので、ファンならずとも聴いた事あるって方いるのではないでしょうか。
そして、まさに明日行われる、2016年アカデミー賞(映画)の最優秀オリジナル楽曲賞にもノミネートされていて、そこでのパフォーマンスと発表が待ち遠しいわけなのですが、そもそも今回は、ものすごいライブ(映像)を見てしまったのです。
その興奮をさめやらぬうちに、ぜひともお届けしたくなってしまったのでした!
サム・スミスの魅力大公開!
まず美しい声の持ち主。高めで声量があり、歌唱力もすばらしいんですよねえ。
痩せ型でこそないけれど、ルックスもイタリアの画家ボッティチェリの絵画に出てくる天使のように、美形な瞳をしてる……!と思ったほど。(って、彼英国人ということはおいといて)。
サム・スミス
ちなみにボッティチェリはこちら
春(全部)
ご覧いただきたいのはこちら。
ね?
登場しそうでしょ?
話は戻って。
若いけど、どうやら下積みも長かったようで、「Stay With Me」で一躍有名になって、ファーストアルバムでグラミー賞ノミネート。
その時も、「僕がここで歌えるなんで信じられない!」みたいな感じだったので、なんか性格のよさがはしばしに感じられる方なのですが、
そんな彼の歌声に一番惹かれたのは、受賞年のグラミーで、欧米でのクリスマス定番ソング「Have Yourself A Merry Little Christmas」(意:あなたに素敵なクリスマスを)を歌ったのを聞いたときから。
出会いはクリスマスソング。聴き惚れてしまって……
クラシックに(タキシードだったかな?で)キメてるこの人、誰?歌すっげーうまいし、声がきれい。とうっとり。してしまい、もう何度再生したことか。それが彼との出会いでした。
当然、観客にも大好評だったようで、後日この曲は急遽発売(配信のみかな?)され、その年のクリスマスの耳が幸せだったことといったら……!
そんな彼は、グラミー受賞後、すぐに来日してくれたのですが、風邪か何かのせいで残念ながら、ライブはできなかったんですよね。
しかしその後も活躍はめざましく、映画007シリーズのダニエル・クレイグ主演『スペクター』主題歌にも抜擢されるなど、すっかりスターの一員に。
(わかる人にはわかるあのマークですね)
苦労して成功をおさめた若きスターの再来日初公演を、WOWOWが放送!ってことでさっそく見てみました。
日本公演2015@代々木、ヤバイです!
これがもう、想像以上の良さで!!!
歌声はCDのままに正確で、でも曲のアレンジが違うので、聞き込んだ曲も新鮮に聞こえるし、意外?だったのがオーディエンスの扱いも心得てること。巻き込んで、乗せてくれるし、そしてなんかねえ、性格いいよ、彼(笑)。癒されちゃう。
番組構成としては、本編の前後にサムのインタビューがあって、グラミー賞獲得の感想、実現しなかった来日公演、喉の手術を経て歌う喜びに気づいた事が語られて、日本に好感を持ってくれていることも示してくれているのですが、
それは公演中にも現れていて、「日本語を話せなくてごめんね」、とか、「こんな大きな会場に呼んでくれてありがとう」とか、10年ぶりの来日公演が話題の大スターマドンナとかなら、決して言わなそうなことを言ってくれるんですよー(癒)。
なんかね、いい意味でアマチュアっぽさがあるというか、ういういしさと謙虚さを感じてしまうのです。歌うことに感謝と喜びとを感じている感じ。
ああ、その心、できることなら持ち続けてほしい!染まらずに(笑)。
実際、観客のみんなが暗闇の中にペンライトをふる様は、蛍の飛び交う川かまるで銀河のよう。これには彼も、パフォーマンスする側なのに、「こんなに美しいライブは初めて」なんて言ってくれて、感動してくれてるのが伝わってきて。
実際会場にいた人は、素敵な歌い手が喜んでくれていることに、想像以上に嬉しかったんじゃないかなあと思いました。
”相当な本物”
ほんとのほんとのこと言うとね、ファーストアルバム自体にはそんなにハマれなかったんです、わたし。
往年の名曲「Have Yourself A Merry Litlle Christmas」とか、ゲストヴォーカルで参加してた初期の曲とかのテイストとちょっと違ったから。(たぶん今の世代には合ってるんだろうな。新しい感じ。攻めてます!)
「Restart」とか「latch」とか、めっちゃ好きだなと思いました。けど、全曲愛せるベストなアルバム!というわけではなかったのです。
とっころが。
ライブ見てみぃと。
すっげーいい。全部いい!
(これはたぶんロンドンの。)
ああ、これはライブで生きる曲ってゆーか、ライブで生きるアーティストってゆーか、なんだろうなと。
それって、相当な本物だな、とわたしは思うわけです。
(今年2016年のグラミー賞でアデルを見て思ったけど……、彼女も魅力ある歌い手だけど、ライブパフォーマンスで最高かというと、疑問符がついちゃうことが数回あったんですよね。
もちろん、生で見たことはないのであれなんですが、ん?音……あってるのかな?ん?みたいなことが、こういった時にあった印象が。
比べると、サム・スミスは完璧に聞こえる。期待を裏切らない。
それどころか予想を上回って、「わたしたちの」大好きな曲を、もっと素敵にアレンジして、新たに聞かせてくれる。
から、大満足(させてくれる)。すっごい好き。と思ったのでした。)
心を通わせてくれるアーティスト
もう一つの感動ポイントが、すっごい個人的なことを、観客であるわたしたちファンに明かしてくれたこと。
ファーストアルバムは、実は3年前に愛した人の歌だったこと、それは叶わなかったこと、でも、歌が支えとなったこと。
当時はその曲は心の吐露だったから、自分を打ちのめしたけれど(歌うの辛いときもあったんだろなあ)、時間がたって、前ほど自分を打ちのめしはしなくなって……みんなの歌になっていった、という経緯を、胸襟を開いて話してくれたんですね。
まあ、会場で英語が分かる人がどのくらいいたのかは定かじゃないですが。
でも、この人、本当に日本やそのファンの事受け入れてくれてるんだろうな、だからこんなパーソナルなことも話してくれるのかも……って、ラブリーなめっちゃいい子度が最高に上がってしまったのでした(笑)。
エリック・クラプトンの亡き息子への曲とか、超個人的な想いから作ったものが、世界中で見知らぬそれぞれの人々の中に「わたしの歌」として愛され、大ヒットすることは多々あるけれど、彼の曲も、そんな普遍的なもののひとつなんでしょうね。
さて今回も、きちんとしたジャケットで登場してくれた彼。
デビュー当時よりちょっとやせたのは、「ダイエットなどもうまくいかず、そのままの自分を嫌いだった(らしい)けど、そんな自分を認めるようになってから、うまくいくようになったんだ」と言っていた彼にとって、喜ばしい変化なのかな?とうれしく思いました。
ヒゲなのは、あちらの業界では流行ってるみたいですから、その流れなのかな?(日本ではひげ面ブームは来そうにない気がするけども。)
ちなみに彼、恋愛対象は男性だそうなので、「もし、彼とデートしたら……」的妄想権が女子にないのは悲しい……ですが、ほんと性格もよさそうな人。
「大事なのは家族だし、自分を成長させるバランスが大事だと思う。こうでありたいと思う自分であるようにしているんだ。」みたいなことを言っていて、繊細さと知的な優等生っぽさ、謙虚さもあるところが、実に素敵でかわいい人だなーと思いました。
いやでも本当に、彼の美声はすばらしい。
1時間あまりのライブでしたが、もっと見たくなります(けど出血してしまうほど繊細な喉は大切にしてほしいので、わがままは言いません!)。
なんか、大事にされた感があるんですよね。
こちらはファンですから、アーティストが好きで大切にしたいのは当然なんだけど、思いのほかあちらからも返してくれるというか。それは、そうあることじゃないように思いますが、いかがでしょうか?
つまり、幸せなライブだったー!の一言に尽きます。いつか肌で体感してみたいなあ!と思った、今期最高のライブ作品でした。
素晴らしいものって、時代を超えて存在しますが、それをリアルタイムで体感できてる!って思うとき、わたしはものすごい幸せを感じます。
サム・スミスも、そんな気持ちを与えてくれるアーティストの一人です。
おまけの一枚
ボッティチェリ:まさに「”歌う天使”と聖母子」。
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